言語ストラテジーの役割
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概要
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ブラウンとレビンソン(Brown and Levinson)が提案するポライトネス・ストラテジーは言語学の談話分析に新しい光をあてることとなった。従来の談話研究に代表される語用論のいわば、狭いリサーチ範囲を積極的に開拓した研究といえる。このポライトネス・ストラテジーはゴフマン(Goffman)の対人コミュニケーション論について、哲学的な知見からの考察を基にしたコミュニケーションの円滑的な向上を目指すための一つの原理である。日常会話に潜む何気ない相手への配慮はただ単に、談話を分析する以上に大切な役割を果たしている。このような認知的なコミュニケーションにおけるメタ・コミュニケーションの要素をここで、具体例を参考にしながら問いなおして、ポライトネス・ストラテジーの原理が我々の気が付かないところでいかに大切な認知的ストラテジーになっているかを考える。そのポライトネス・ストラテジーはポジティブ・ポライトネスとネガティブ・ポライトネスに分けられる。積極的で、円滑な対人コミュニケーションを構築するためには話し手と聞き手がポライトネス・ストラテジーに気を配ることが基本とされている。特に、注意が向けられなければならないのはネガティブ・ポライトネスである。この要素が欠落し、背景化されると、場合によっては話し手と聞き手が同等の立場にありながら自然とその対人的な立場に差異が生じ、コミュニケーション・ブレクダウンを惹き起こす要因となる。談話中のとのような感情の変化、起伏は分析の対象から除外されるべき要素ではあってはならず、人間の基本的な面子と欲求を維持するための認知的なストラテジーであることがこの新しい談話分析では提案されているのである。
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