学際的科学哲学に向けての言語研究
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概要
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認知言語学は生成意味論を土台として発展してきている。生成意味論はもともと,生成文法の一部として生まれた研究であるが,その後,生成文法とはパラダイムの点で相容れることはなく,独立した独自の道を歩んだ。その結果,今日の認知言語学の礎となったのである。その点,生成文法が果たした役割は重要であったといえる。認知言語学は隣接分野の研究成果からの知見を豊富にいただきながら,今の姿になっている。哲学,心理学,人類学,脳科学の分野は特別に認知言語学にコミットしてきたし,今後,その影響はより大きなものと伺い知れる。生成意味論が「意味」の分野をより重要視して生まれてきたのは相違ないが,1970年代においてはすでに,哲学,心理学,そして文化人類学からの影響は大きかったのである。1970年を前後して,シカゴ言語学会(Chicago Linguistic Society)では今日の認知言語学の前身である生成意味論の論文が多数,発表されている(cf.Yamanashi 1972,山梨 1977)。隣接分野からの研究では,哲学的知見を含めた論文も多数,発表されている。Lauri Karttunen, Barbara Hall Partee は哲学と言語学とのインターフェイスに注目をして画期的な論旨を展開している。特に,最近の Partee の研究では「否定(negation),内包性(intensionality)そしてテンス」との言語哲学的関連について述べ,認知意味論でもよく参照される「家族的類似性(family resemblance)」の概念を導入している事実には驚かされる(cf.Partee 2008)。I opt for a view of "family resemblanse"properties that many but not all instances of negation and intensionality share, so as to allow for equally important differences that show up among the family members.(Partee 2008:291)さらに,認知言語学が提案する認知モデルの大多数は隣接分野からの知見に基づいている。カテゴリー化,スキーマ化,プロトタイプ理論,参照点モデル,そして分析性(analyzability)は認知人類学がその土台となっている。
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