言語科学考察における哲学的意味
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概要
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言語変化は認知主体が身体を環境に投入することから引き起こされる。ハイデガーの「存在と時間」が言語学に提供する哲学的意義は言語変化を動機付ける要因にある。この哲学思想から言語変化を捉えてみると、変化を遂げる時間、認知主体の存在そして、その後に現れてくる想像力の3要素によって変化は完遂される。このような言語変化はカントが「純粋理性批判」で述べているような想像力を最も軽視する立場からは説明され得る現象ではない。より動的で開かれた象徴体としての言語であるからこそ言語が進歩し、また変化を蒙ることになるのである。言語は無機質な閉じた集合体であると、定義すると科学・技術的には予測可能な高度に抽象化された記号体として捉えられる危険性がある。この立場から言語を捉えるのであれば今までに引き起こされた言語変化はすべて事前にセット・アップされていたプログラムであり、もはや認知主体が相互に関わる余地が排除されることになる。社会的・文化的影響に基く言語変化にとっては、この種の哲学的思考による言語観は予測可能性の観点からすると、説明を施すときに非常に困難な問題に直面するのである。
- 2007-03-31
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