医療秘書職の実態と今後の課題 : 医療機関を対象とした全国調査を中心に
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概要
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わが国における医療秘書の事象研究を進展させ,将来的に医療秘書教育モデルとしての「医療秘書人材育成プログラム」の作成を目標に,医療機関の管理者および研究者(全国7,868人)を対象とした郵送調査およびインタビュー調査を2007年に実施し,そこから医療秘書の実態を把握することを試みた.本稿では,そのうち医療機関の管理者について分析・考察を行った.これらの調査から,以下のような点が導かれた.(1)医療機関の経営者につく秘書は,規模が大きい病院に1名配属されていることが多く,事務職員の中から適性のある職員を登用している.人員配置に関しては,人件費が大きな問題となるが,秘書を使った経験のある者の方が採用に対して積極的である.現在,求められている知識・技能は,文書処理・情報処理に関するものが多いが,今後は,企業の秘書の場合と同様なゼネラルスタッフ(general staff)としての業務や能力が求められることが推測される.(2)経営者以外につく秘書は,医局に医局秘書として専任で,もしくは事務との兼務で配置されていることが一般的である.今後は,医師業務のサポート,特に診療以外の情報管理のサポートが求められるものと考えられる.人員配置に関する問題点は,(1)の場合と同様である.(3)4年制大学で行う医療秘書教育に対し,高い専門性と実務能力の育成とともに,人格形成の場であってほしいとの期待がある.本調査実施後,2008年4月の診療報酬改定において「医師事務作業補助体制加算」が新設されたため,全国的に医療秘書を導入する動きが活発化し,それによる経営面でのプラスの効果が報告されている.本学は医療秘書教育のパイオニアであり,今後,医療の急激な変化に対応し,医療機関および医育機関で求められる高度な専門性を持つ医療秘書を育成していかなければならない.また,医療秘書教育の質の向上のためのカリキュラム開発・教材開発が急務である.
著者
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山本 智子
川崎医療短期大学医療秘書科
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田中 伸代
川崎医療福祉大学医療福祉学部医療福祉マネジメント学科
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清水 昌美
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療福祉経営学科
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田村 久美
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
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山本 智子
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
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植松 章子
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
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中村 健壽
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
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島名 正英
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
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清水 昌美
川崎医療福祉大学 医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
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田中 伸代
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
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田中 伸代
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部
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