大学生のキャリア形成に社会的責任概念を導入した「消費者教育」の展開
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
"本研究の目的は,学生のキャリア形成が消費者教育とどのようにかかわるのか,を探究することである.この探究においては,医療職をめざす学生のキャリアに焦点を当て,キャリア形成と消費者教育を結ぶ概念が,「企業の社会的責任(CSR:Corporate Social Responsibility)」という基礎概念に求められ,その応用概念が「病院の社会的責任(HSR:Hospital Social Responsibility)」であることを論じる.そして,学生のキャリア形成にかかわる職業選択には,「社会的責任」が重要な媒介概念であることを論証するものである.そのことによって消費者教育に教授項目として社会的責任を取り入れる意味・意義が明らかになる.すなわち,「キャリア形成と消費者教育の統合化」による消費者教育の展開を可能にするのである. そこで,学生の現状を求めた基礎データを収集するためにアンケート調査を実施した.調査内容は,1消費者教育の受講経験,2職業選択の条件について,の2点である.これらの得られた結果に基づき,「消費者教育とキャリア形成にかかわるCSR」を教授項目として導入することの必要性について実証した. 以下は,考察によって導き出された4点である. 1)「よりよく生きるための消費者」としての生活基盤をつくる前提で,学生は「自立した消費者」としてのキャリア形成を企図する必要がある.すなわち,学生のキャリアを考える場合,まず「個の視点」から捉えることが重要になる. 2)その上で,人生の節目となる職業選択の意思決定の際に,CSRの応用概念であるHSRを十分に認識する必要がある. 3)つまり,キャリアに対する問題意識をもち,生涯を通じた働き方や生き方を踏まえることによって,主体的で自立的なキャリア形成へと接近できる. 4)したがって,キャリア形成にかかわるCSRを教授項目として消費者教育に取り入れることの意義は非常に大きい. 今後の課題は,以上のことを踏まえて,「キャリア・デベロップメント消費者教育プログラム(CDCEP:Career Development Consumer Education Program)」を構築することである."
- 川崎医療福祉大学の論文
著者
-
田村 久美
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
-
水谷 節子
ノートルダム清心女子大学人間生活学部人間生活学科
-
"田村 久美
川崎医療福祉大学医療福祉マネジメント学部医療秘書学科
-
水谷 節子"
ノートルダム清心女子大学人間生活学部人間生活学科
関連論文
- 医療消費者志向の考案に関する一研究--医療事務職が及ぼす消費者利害の追求から探る
- 医療秘書職の実態と今後の課題 : 医療機関を対象とした全国調査を中心に
- わが国における医療秘書職の実態調査--研究者を対象とした全国調査を中心に
- 医療消費者とは何か : 患者運動の根本思想とコンシューマリズムの再興
- 病院組織の医療消費者志向--患者満足度向上を担う事務スタッフにおける役割追求
- 被介護者とその家族介護者における「介護サービス消費」の意思決定プロセス
- 大学生のキャリア形成に社会的責任概念を導入した「消費者教育」の展開
- 家族・施設・地域の福祉ガバナンス