情報科学という学問を再考する。 : 物質科学とココロの科学(サマーセミナー(若葉研究者の集い)「最先端ビジョン技術が拓く画像応用の新境地」)
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概要
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このサマーセミナー主催の画像応用技術委員会(IAIP)も映像情報メディア学会メディア工学研究会も、カメラやコンピュータという電子機械をはじめ極めて深く物質科学技術を礎にしているが、よくよく突き詰めると、知覚、感覚から意識(時間と自由)、記憶、心情(歓喜/悲嘆)、感情(喜怒哀楽)、精神、思想など、一連のココロという非物質的な事物、出来事、現象と学問的格闘をしようとしている。視覚感性にあった製品検査装置、自由な使用感のカーナビ、優しく見守る介護システムの開発、活き活きとした映像環境構築、などの課題を想起すれば十分にこれは得心できるであろう。この意味で、画像応用技術もメディア工学も、これを包含する『情報科学』という学問が負っている、学問史上かつてなかった極めて特異な性格を全くそのまま負うことになる。要点は、物質科学と非物質科学の区別とその関係を見定めること、これに尽きる。まずは、(a)これが自明なこととして自覚されているか?次いで、(b)どう特異なのか?を徹底的に掘り下げることが要請される。その手掛かりは、物質科学の対象が物質の物理化学的現象を徹底して相手にするが、情報科学の対象は物質現象ではなく、つまり非物質存在とその現象を徹底して相手にする。更に、このように特異だというなら、(c)情報科学という学問への取り組みの方法は、これでよいか?この検討への手掛かりは次のように要約される。物質科学で培われた方法の根幹は、物理測定・計測にある。詰まるところ物質的測定とは、物質現象と物質現象の間の綿密な照合(法則)を見出しこの性質を明瞭にすることである。このため、ココロの科学は、ココロにおける現象ともう一つの現象の間の諸関係を綿密に明らかにしてここでの計測法を確立することが強く要請されることになる。このような本稿のテーマは、H.ベルグソンがその第一、第二著作、『意識の直接的与件論(時間と自由)』と『物質と記憶』で身心関係を綿密に思索した科学哲学に深く関わる。この科学思想に深く関わることは、情報科学の、すなわち画像応用・メディア工学という学問の本性を掴み、かつその資質をまっすぐ醸成するうえで避けられない。小林秀雄は、この基本問題は一朝一夕には何ともならず、宗教支配の中世から宗教改革とルネッサンスを経て物質・物理科学に花咲かせて現代に至った、この半千年紀と同じほどの里程標を構想して、取り組むべき性質のものである、と悠久な思索を披瀝している。これに励まされて、江戸中期の古学者本居宣長にもギリシャ哲学にも中国古典にも目を向けて、我々も腰をすえてこの議題への思索の広場に遊んでみようではありませんか、という呼掛けが本稿の本意である。大げさでなく、情報科学は他に比類のない、ユニバーサルな科学、つまりダビンチ科学のようであるからである。
- 2008-08-21
著者
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