サイバースペースにおける高齢歩行者の危険回避能力検査の試み(<特集>サイバーワールド論文)

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概要

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本邦では交通事故による死傷者に占める高齢歩行者の割合が年々増加しており,歩行者側からの交通事故防止のアプローチが必要とされている.本論文では,サイバースペースのアプリケーションの一つとして,モーションキャプチャシステム,トレッドミル及び被験者の正面・左右の3面に投影される100インチ映像を組み合わせて歩行環境シミュレータを開発し,片側一車線の直線道路を横断する際の歩行者交通事故の発生状況を調べた.その結果,実際の交通事故状況と同様に奥の車線(対向車線側)で事故が多発する傾向を確認し,手前の車線よりも奥の車線を走行する車速が速い条件で交通事故が誘発されることを明らかにした.また,交通事故に遭った高齢者全員の奥の車線の安全確認がおろそかになっていることを明らかにした.一方,若年者と危険回避能力が変わらない高齢者も存在し,交通事故の回避能力は個人差が大きく,交通事故のリスクファクタをもつ高齢者を対象とした個別指導が重要であることが示唆された.
2006-10-01

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