10)ヒト赤血球の凍結保存に関する研究 : 凍結保存血球の被凝集性について
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概要
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ヒト赤血球の凍結及び乾燥による長期保存の研究は,血球の生理生化学上の観点,特に赤血球の代謝を中心に行われている。我々は赤血球の血清学的特性の保持という面から実験を行つた。今回は型特異抗体,非特異抗体に対する赤血球の被凝集性の変化について報告する。ヒト血液をACD液で採取し,直ちに遠心沈澱し,生理食塩液で洗滌し,赤血球沈層を得て,濃度を変えたグリセリン加食塩液,血清アルブミン液に浮遊させて,凍結方法,並びに保存条件をそれぞれことにして低温保存による赤血球の被凝集性の変化を経特的に追求した。試験時,37℃,温水中で急速にとかして,洗滌后,一定力価の抗-A, -B, -M, -N, -C, -D, -E, -C, -e血清並びに寒冷型自己抗体を含むAB型血清を用いて凝集開始時間,凝集塊の大さ,凝集力価をしらべた。用いた抗血清のうち,抗-C, -D, -E,は完全抗体と不完全抗体の共存血清であるが,抗-c, -e,は不完全抗体のみを含む血清であつた。凍結保存血球の被凝集性は血球のFragilityの低下しない限りiso-agglutinin及びcomplete antibodiesに対しては保存期間の相違により著しい変化をみないが,panagglutinabilityは増強する。此のために,高分子物質溶液を用いて反応をみる不完全抗体に対しては被凝集性が強まつたようにみえるが,特異性はむしろ低下している。
- 低温生物工学会の論文
- 1960-07-17
著者
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