バイオフィードバックを利用した物理音響的耳鳴治療の試み

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耳鳴りの自覚音について,その近似音の位相反転音を作成し耳鳴りを持つ側に負荷することで耳鳴りの軽減効果が得られないかについて検証したので報告する.研究手法として二種類の方法を試みた.まず本研究の有意性を検証するため健常者に仮想の耳鳴りを設定した検証試験を実施した.この試験では耳鳴りの発生部位により,内耳性耳鳴模倣モデル(Ipsi model),聴覚中枢性耳鳴模倣モデル(Contra model)の二種類を準備した.各モデルそれぞれに仮想耳鳴として低音,及び高音の二種類の音源を用い,位相反転音による聴性脳幹反応(ABR)の測定を行った.ABR第V波の潜時延長を検証し仮想耳鳴における聴覚閾値の指標とした.仮想耳鳴は耳介後骨部より負荷するため骨導受話器を使用した.検証試験の結果を得て,基礎疾患を持たない耳鳴りを有する被験者に試験に関する了解を得た後に被験者試験を実施した.この試験ではまず耳鳴検査を行い,主要な周波数を検索しその正弦波音源をジェネレータから出力した.更にデジタルフィールドプロセッサーにてAD変換を行った後1ms〜30msの時間遅延処理をした.この処理音を被験者にフィードバックし,耳鳴りと位相反転音を同期させる手法を行った.被験者の耳鳴り評価指標には,耳鳴問診票THI(Tinnitus Handicap Inventory)及びVAS(Visual Analogue Scale)を使用した.検証試験では,追加音による神経の興奮インパルスが脳幹コーディングにより耳鳴を変化させるのではないかという仮説を支持する結果を得た.被験者試験では二例共に,客観的評価における耳鳴り音の減弱効果を得た.本研究は新しい耳鳴治療法として臨床応用の可能性を示唆するものと思われた.
2009-04-25

バイオフィードバックを利用した物理音響的耳鳴治療の試み

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