心臓コヒーレンシーの心理的リラクセーション効果 : 健常成人を対象とした評価(第1報)

概要

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心臓コヒーレンシーは,腹式呼吸を基本とする従来の呼吸法とは異なる新しい呼吸法で,本研究ではその心理的なリラクセーション効果を明らかにするため,健常成人39名を対象とした実験を行った。対象者は心臓コヒーレンシーの週1回,計3回の練習に参加し,練習前後の気分の変化の評価を,POMS短縮版を用いて行った。その結果,全ての回で活気を除く5項目について,平均値が練習後に有意に低下し,そのうち不安一緊張,抑うつ一落ち込み,疲労の3項目は著明な低下を認めた。また練習前の得点が高いほど練習後の得点の低下が著しい傾向が認められた。活気の平均値は3回とも練習後に低下したが,有意差は認められなかった。3回目に行った日常ストレスのアンケート調査から,対象サンプルのストレス特性として,身近な人間関係などのストレッサーの影響が大きく,疲れやだるさ,頭痛などの身体症状と,イライラ,抑うつ感無気力感の高さが認められた。本研究では,統制群を設けることが出来なかったため,評価としては不十分であるが,心臓コヒーレンシーが短時間の練習でも,不安・緊張,抑うつ感,疲労感などのネガティブな気分を改善させる可能性が示唆された。