ユーゴスラビヤのNeoschwagerina帯
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概要
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著者の1人,湊はコハンスキーデヴィデ教授から,氏の教室で1963年9月末にMINATO and HONJO(1959)が提案したAxial septulaの発達段階に基づく分類方法で,コハンスキーデヴィデ教授の手許にある,ユーゴスラビヤ産のNeoschwagerinidsを検討して頂きたいとゆう申し出をうけた.このいきさつについては,既にユーゴスラビヤの旅行記(本誌72号)に述べておいた通りである.その観察の結果は,ザグレブ滞在中にまとめあげ,湊及びコンハスキーデヴィデの名でユーゴスラビヤで印刷されることになっている.それとは別に,湊及びコンハスキーデヴィデは湊の帰国後に,それぞれ資料を整理し,Neoschwagerinidsにもとづく両国のペルム系について,詳細に対比をすすめつつあったが,結論は一致した.この間,手紙で討論をすすめ,原稿も協力して作成した.本文中に,Montenegro(1),(2),(3);Velebit(4),10-13);Bohinjska BelaのB_1〜B_5;或はBled(Mlinoなどとあるのは,例えば赤坂の黒とゆうが如く,ペルム系やフズリナの専門家の間では常識的なこととなっている.第1表及び文献表のうち,KOCHANSKY-DEVIDEの原典にくわしいのでここでは説明を省略する.コハンスキーデヴィデの採集品には,Neoschwagerinidsのうち,Metaschwagerina bioseriesをのぞいては,日本で発見された凡てのbioseriesの代表者がふくまれていた.それは次の様なものである.日本(Japan) ユーゴスラビヤ(Jugoslavien) Metaschwagerina bioseries →未発見(unbekannt) Gifuella bioseries →Gifuella sp. nov.(?) Neoschwagerina simplex bioseries →N. aff. simplex N.minoensis bioseries →MontenegroのN. sp. b. N.craticulifera bioseries →N.craticulifera, N. crat. occidentalis N. crat. rotunda N.irregulalis bioseries →恐らくはN. crat. multicircumvolta(Bohinjska BelaとMontenegro産)また,Axial septulaの観察された種については,第2表にformula(例えば,v,s,l+sなど)で示してある.由来,Neoschwagerinidsについては,断片的な種の記載をはじめとして,系統を綜合したものにいたるまで多くの研究がある.しかし実際はbioseri飴の区別にも,種の鑑別にも,Axial septulaの性質の有効であることが,みおとされているものが多いのである.MINATO and HONJO(1959)の提案した,o,i,v,s,lはAxial septulaの個体発生に対応したものでもある.しかも各bioseriesごとに,Axial septulaは定向的な変化をたどっていることを示している.この性質が層位判定に有効なのである.本文で述べた通り,この方法が対比の上で如何に有効であり,他の分類よりも優位にあるかは,赤坂・秋吉(HONJO 1959, HASEGAWA 1962)の対比表のみならず,日本とユーゴスラビヤ間の対比表をみるならば明らかと考える(第3表).終りに当り,本文を公表するに際して,端山和好氏をはじめとして編集委員の方々に,はなはだ御面倒をおかけした.記してここに深甚な謝意を表する次第である.
- 地学団体研究会の論文
- 1964-07-30
著者
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