ロールズの国際正義論批判とコスモポリタン正義論(2)-ベイツ、ポッゲ、ヌスバウムを中心に-
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概要
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トマス・ペッゲは、現代においてコスモポリタニズムを提唱する代表的な政治理論家であり、ロールズの国際正議論の忌憚のない批判者でもある。ポッゲのコスモポリタン正議論は自らのグローバル正議論に基づいており、そのグローバル正議論は、ロールズに従って、社会構造、とりわけ社会制度の観点から提起されている。ポッゲは、西洋の豊かな市民が形成するグローバルな制度秩序がグローバルな貧しい人々に対して危害を加えており、それゆえ、西洋の豊かな国々には、危害を加えないという正義の消極的義務があると主張する。ポッゲの制度的アプローチによれば、危害を加える制度秩序を支える人は、もし危害を被る人の保護と制度改革の推進に向け道理に適った努力をしないのであれば、その制度に協力し、消極的義務を犯しているとみなされる。ポッゲが提唱する制度的コスモポリタニズムも社会正義コスモポリタニズムもともに、人権の制度的理解に基礎を置く。制度的人権は、「人権は消極的義務のみを伴う」というリバタリアンの制約のもとで理解されている。ロールズの正議論に依拠するように見えても、ポッゲの理論は、それをグローバルに拡大するコスモポリタニズムではなく、リバタリアンの規範を前提に構築されており、それがポッゲ批判の焦点となっている。
- 2009-03-06
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