現代日本の愛国主義とコスモポリタニズム(2) : 憲法・教育・歴史
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概要
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教育基本法は、憲法の精神に則り、日本における民主主義の実現をめざし、さらに世界の平和と人類の福祉の貢献という世界に開かれた民主的コスモポリタニズムを志向している。しかしながら、戦後教育や教育行政は、民主主義の担い手を育成するための教育を積極的には実施せず、ましてや民主的コスモポリタニズムを具現化する教育をほとんど行わなかった。1950年代には「強い愛国主義」に基づき、1960年代にそれに能力主義が結びっき、そして1980年代以降「強い国家とネオリベラリズム」に基づいて教育が実施されてきた。最近の教育基本法をめぐる議論も、基本的に「強い愛国主義」や「強い国家とネオリベラリズム」の論調に沿うものである。はじめに、「強い愛国主義」の主張として新しい教育基本法を求める会と「日本の教育改革」有識者懇談会の主張を批判的に検討する。次に、「強い国家とネオリベラリズム」として教育改革国民会議の提言や中央教育審議会答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方」(新教育基本法答申)を批判的に検討する。これらの教育基本法改正議論に対して民主的コスモポリタン教育を提起する。それは、個人の尊厳という普遍的原理に基づき、人権、デモクラシー、平和、そして福祉などの問題に取り組む教育である。この立場から「強い国家とネオリベラリズム」の立場に立つ新教育基本法答申やその在り方を批判しそれに対する代案を示唆する。
- 宮崎公立大学の論文
- 2006-03-20
著者
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