呼吸運動ト腸運動トノ關係ニ就テ
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概要
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腸血流ト腸運動トノ間ニ多大ノ關聯アルハ既ニ吾教室ニ於テ町田,山本兩氏ニヨリテ證明セラレタリ.然レドモ呼吸ト循環器系統トノ間ニモ密接ナル關係アルハ近來益々諸學考ニ認メラレ,從ツテ呼吸運動ノ變化グ腸運動ニ影響ヲ齎スハ想像ニ難カラザル處ナリ.然ルニコレニ關スル系統的ナル研究ナキヲ遺憾ニ思ヒ本實驗ヲ企圖セリ.1)先ヅ呼吸困難乃至窒息ニ關シテ述ベンニ,家兎ヲ背位ニ固定シ腹腔外懸垂法ニテ腸運動ヲ頸動脈ニテ血壓曲線ヲ同時ニ描書セシメツ丶豫メ氣管内ニ挿入セル氣管かにゆーれニ連結セルごむ管ヲ壓搾セリ.閉鎖直後腸運動ハ抑制セラル、モ血壓ハ著明ナル上昇ヲ示セリ.此際閉鎖ヲ放シテ再ビ呼吸ヲ營マスニ腸運動及ビ血壓ハ次第ニ舊ニ復スルモ,閉鎖ヲ持續スル時ハ一旦上昇セル血壓ガ下降スルト同時ニ腸運動ハ著明ナル亢進ヲ示ス.2)又腹窓法ニ仍リテ觀察スルモ,閉鎖直後腸血管收縮シ腸ハ蒼白トナリ運動停止ヲ來スモ,閉鎖ヲ放ツ時ハ次第ニ鮮血迸流シ來リテ腸ハ再ビ運動ヲ開始スルモノナリ.即チ腸血流ト腸運動ト密接ナル關係アルヲ物語ルモノナリ.3)家兎ニ於テ人工氣胸ヲ施シ高壓氣胸トナス時ハ動物ハ苦悶状態ヲ呈シ,血壓ガ上昇スルト共ニ腸運動ハ抑制セラレタリ.4)余等ハ窒息初期ニ於ケル腸運動抑制ヲ血管中樞刺戟ニヨル腸血管ノ収縮ニ歸セントスルモノニシテ,此ノ事實ハ窒息初期ニ於ケル血壓ノ上昇或ハ豫メ第二胸髓ヲ切斷スル時ハ抑制ノ出現セザル點ヨリ明白ニシテ,又抑制ノ傳導ガ交感神經ニヨルハ内臟神經切斷時ニハ抑制現レザル故ニ確實ナリ.次ニ窒息後期ニ於ケル腸運動亢進ハ第二胸髓,迷走神經或ハ内臟神經切斷ノ何レノ場合ニモ出現スルモノニシテ,單ナル腸運動抑制作用ノ解除ヲ以テ説明シ難ク血液中ノ炭酸瓦斯ニ依ル刺戟ニ歸スルヲ至當ナリト思惟ス。5)最後ニ胸部壓迫ニヨリテ人工的強制呼吸ヲ行フモ腸運動ニ殆ド影響ナキハ血壓ノ不變,從ツテ腸血流ノ不變ニヨリテ説明セラル可キモノト信ズ.
- 京都府立医科大学の論文
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