亜高山帯針葉樹林における酸性雨の観測と実態 : pH,ECおよび化学性について
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概要
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亜高山帯針葉樹林に酸性雨モニタリングステーションを設置し,1990〜1993年の4年間,降雨,雪,林内雨,樹幹流(トウヒ,コメツガ,シラベ,ダケカンバ)のpH,ECおよび化学性を観測した。その結果,林内雨と樹幹流は林外雨に比べpHが低くECが大きかった。また,どの降水に関してもECが大きい値をとるとpHが低下する傾向が見られ,これは特に林内雨とトウヒ,コメツガの樹幹流で顕著であった。また,林外雨のpHと林内雨およびダケカンバ,シラベの樹幹流は正の相関があったが,コメツガとシラベの樹幹流は林外雨のpHにかかわらず,ほぼ一定の低い値をとった。イオン濃度は林外雨に比べ林内雨と樹幹流は高い値を示した。また,各イオンの濃度は林外雨,林内雨,雪,樹幹流による違いがみられ,樹幹流では樹種による違いも認められた。降水中の成分は環境庁の観測よりもはるかに低濃度であり,大気からの混入の少ない清浄な降雨が得られた。しかし,年間の負荷量を試算したところ,年間降水量が多いために環境庁の全国平均値に近い値となった。
- 森林立地学会の論文
- 1995-03-15
著者
-
森澤 猛
森林総合研究所木曽試験地
-
石塚 和裕
森林総合研究所森林環境部
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森澤 猛
森林総合研
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森澤 猛
森林総合研究所東北支所
-
原 光好
森林総合研究所木曽試験地
-
仙石 鐵也
森林総合研究所木曽試験地
-
石塚 和裕
森林総合研究所
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