学習者自身による客観テストの作成と評価の試み

概要

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学習評価の主要な機能の1つはいうまでもなく学習者が自己の学習上の弱点がどこにあるかを明らかにし,学習を進めていく上での指南役を果すことである。大学における成績評価については,評価内容が,思考方法やその内容,論理的な推論や判断など,高次の精神過程を含むところから,現状ではこの機能が充分に果されているとは言い難い。評価の基準が明確に示されることは少なく,学生達にはベールに包まれた作業と受けとめられている。大学生の学習評価についての諸研究が極端に少ないのも,ここに1つの理由があるだろう。大学における教育目標の観点からは,レポートや日常の学習態度,あるいは論文テストによる評価が適切と考えられるが,今日のように学生数が増えてくると利点よりも欠点が目についてくる。多量のレポートを読み,いくつかの評価基準と照合しながら総合的判断,評価を下していく作業は教師にとって責務とはいえ,苦痛を伴なってくる。筆者は受講生の多い基礎コースにおいて,客観テストの利点を生かし,学習者自身にも問題の作成に参加してもらい,一種の自己評価として評価活動の一部に加わるという方法で学習後の成績評価を行なってきた。後に述べるように問題を公開しないことを原則としてきたが,'83年度より担当コースに変更が生じたので,これを機会に,これまでの実践記録をまとめ,報告する。

著者

栗山容子
国際基督教大学

学習者自身による客観テストの作成と評価の試み

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