ドイツにおける労働組合の「ジェンダーの主流化」の課題 : DGB女性部の取り組みを中心に
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概要
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本稿の目的は,ドイツの労働組合における「ジェンダーの主流化」(以下GMと略す)導入までのプロセスを分析し,その実施に向け労働組合に残された課題を考察することである。DGBでは発足以降,DGB女性部が「女性問題」解決の担当部署として位置づけられ,DGBの最高意思決定機関にまで議案を上程し,解決に当たるという組織機構が確立されていた。にもかかわらず,「女性問題」は特殊な問題だとされ,DGB内において主流化されることが困難だった。1990年代半ば以降,ジェンダー平等推進のための戦略としてGMという新たな戦略が登場すると,DGBも2002年に規約改正を通じGM戦略導入へと転換し,ジェンダー平等の新しいステージに踏み出した。DGB女性部がイニシアティブを取り,GM導入の方針が決定されたが,それ以降,GM実施には際立った展開は進展が見られない。GM推進のための新たな組織作りも進まない。GM実施にはコスト負担,女性の権力不足という原因が考えられるが,推進主体が相変わらず女性部主導であることが,GM戦略の新しさを阻害している可能性があると指摘した。
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