ドイツ職業訓練教育に関する一考宗 : ジェンダーの再生産を阻止するために(III)
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概要
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本稿では,昨今の若年の失業対策として日本にも取り入れられた「日本版デュアルシステム」をまず概観し,日本がその手本として取り入れたドイツのデュアルシステムを中心に,ドイツにおける職業訓練教育と若年失業対策の最近の動向並びに職業選択のジェンダーの再生産を阻止する施策を検討する。これを通じて「日本版デュアルシステム」の課題を考察していくことが本稿の目的である。その結果明らかになった点は次の通りである。まず,日本とドイツの一般的な教育制度の相違,デュアルシステムを通じて取得される専門資格の相違が明らかになった。ドイツにおいては,デュアルシステムという企業外と企業内の職業教育訓練が並列的に行なわれるシステムのため,「学校から職業生活への移行」という観点から論じられない。次に,ドイツにおいても1990年代に入り,雇用状況の悪化により,デュアルシステムシステムの根幹となる職業教育訓練ポストの不足が,若年層の失業と共に問題になり,多様な対策がとられてきた。とりわけ諸対策において「ジェンダーの主流化」が浸透しており,女性の職業選択拡大のための,性別職務・職域分離是正のための措置が同時に取られてきたことである。日本においてはジェンダー視点は若年失業対策のコアには浸透するに至っていない。
- 川村学園女子大学の論文
- 2005-03-15
著者
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