言語技能の包含関係 : 工学系大学院生を対象にした英語クラスからの報告
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概要
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本論では、富山県立大学で平成18年から実施されている、工学系の大学院生を対象にした英語クラスの実践報告をする。工学系の技術者や研究者は、国際学会やその他の報告会などの状況で、英語で行われる講演・発表を聞いたり、あるいは自分が英語で口頭発表をしたり、学会での論文発表に向けて概要を書く、というような英語の諸技能が職務上必要になってきている。本クラスは、これらの職業的に必要な言語技能に特化した実践的訓練を積むことを目的に実施されている。本論ではまず、本クラスで著者らが重要な原則としている、'Multiple Accessibility Principle'『内容保証の原則』という原則について述べる。この原則は、本クラスのような、学習対象である英語を、媒体言語としても使用するという状況で生じる学習上の負担を軽減する目的がある。本クラスでは、この原則に基づき、学習者の学習効果をあげるために教育上のさまざまなテクニックが採用されている。本論の後半では、学生の口頭発表と英文概要の成績を中心に、これまで本クラスで単位を取得した学生の成績の一般的傾向について概観する。特に学生の口頭発表と英文概要の成績には、とても興味深い関係が見られ、口頭発表で好成績をあげた学習者の場合、英文概要の成績も高いことが高い確率で予想できるのに対し、英文概要で好成績をあげた学習者の場合は、必ずしも口頭発表で高得点をあげるとは言えないことを指摘する。
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