瞑想に関する心理学的研究(I)(追悼 喜多野清一博士)
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概要
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本実験は,5人の被験者(禅瞑想3人,ヨガ瞑想2人)の瞑想実験における脳波と自律神経系の2つの指標を分析し,瞑想時における脳波パタンの時間的推移と個人差,脳波と測定部位差および禅瞑想とヨガ瞑想の特徴について検討した。1.瞑想時間の経過にともない,背景脳波の変動が認められる。しかしながら,その変動の方向および程度は個人差が観察され,その人の全体的な脳波パタンに依存していると考えられる。なお,内省報告の検討から,瞑想進度および瞑想深度と脳波パタンの直接的関連は見いだせなかったが,内省報告の方法や解釈など今後解決されるべき問題が残されている。2.脳波測定の結果から,極端ではないが測定部位差が認められる。従って脳の一般的覚醒水準や意識水準あるいは,精神・身体的状態など,瞑想の全体的理解に関しては,可能な限り測定部位を拡大する必要があり,さらに多面的な検討が必要である。3.禅瞑想とヨガ瞑想の特徴については,資料も少なく,分析方法にも問題があるが,本実験の結果からは必ずしも特異的傾向についての言及は難しい。従って,両瞑想を同一尺度で把握できるか否かは疑問である。パラメーターの解析方法の改革により,その特異性についての資料が得られても,再び個人差の問題が議論されるものと考えられる。
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