高齢者の消化器疾患における術後せん妄発症状況と援助の実際(医療問題)
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概要
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本研究は、手術後にせん妄を発疾した65歳以上の消化器疾患患者の看護記録を含む診療録から、術後せん妄発症要因とそれに対応した看護援助についての実態を明らかにすることを目的とした。研究方法は、診療録から術後せん妄に関連するデータを収集し、症状と看護援助に関する記述を意味内容別にコード化し分析した。看護記録の文章中からは、せん妄症状として分類した12項目と、それに対応する看護8項目及びせん妄消失までの経過について分析した。本研究における3人の研究者の一致率は約67%であった。発症時期は術後2日以内が13事例、発症時間は日中が最も多く12事例、消失までの期間は、最短1日間から最長9日間であった。本研究により以下が示唆された。1)せん妄発症を惹起する脳の脆弱性に関連する因子として、消化器疾患の場合には、絶飲食による代謝異常や栄養状態の低下が考えられる。2)消化器疾患の特徴として、カテーテル類・点滴などのルート類が多いためにせん妄症状としては、失見当識に続くラインの自己抜去が多くみられた。3)ライン抜去は、術後の回復遅延に直接的に関与するため、看護師が積極的に観察や環境整備など予測性を伴った援助を行っていることが明らかになった。4)睡眠導入剤の治療・予防的な意図的使用によって、発症が夜間から日中へとシフトした可能性がある。5)消化器疾患患者のせん妄予防には、消化器疾患特有な症状である脱水や口渇等を予測した看護が有効である。
著者
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堤 千鶴子
目白大学看護学部看護学科
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中村 聡子
昭和大学藤が丘病院
-
樋口 恵子
昭和大学藤が丘病院
-
土屋 圭子
昭和大学藤が丘病院
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城丸 瑞恵
昭和大学保健医療学部看護学科
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堤 千鶴子
昭和大学 保健医療学部
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城丸 瑞恵
昭和大学保健医療学部
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城丸 瑞恵
昭和大学医療短期大学看護学科
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堤 千鶴子
目白大学看護学部
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