地域在住高齢者へのペインマネジメントの導入
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概要
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高齢化の進展及び後期高齢者の増加に伴い、身体的な痛みを訴える者が多く、地域在住高齢者の痛みによるADLやQOLの低下が問題となっている。しかしその実態は十分に把握されていなく、高齢者の疼痛の疫学研究も少ない。痛みは身体的な苦痛をもたらすだけでなく、心理的、社会的にも影響を及ぼし、QOLを低下させる。痛みを緩和することはADL、QOLの向上に繋がるといえ、ベインマネジメントは地域在住高齢者の健康にとって非常に重要である。この分野の研究は看護ケアの立場からも今後ますます重要になると推察される。そこで今回地域在住高齢者の身体的痛みに焦点をあて、地域在住高齢者へのペインマネジメントに関する基礎資料を得ることを目的に調査を行った。沖縄県O村の65歳以上の地域在住高齢者911人を対象に、訪問面接法により聞き取り調査を行い、回答の得られた700人について分析を行った。調査項目は(1)基本的属性、(2)痛みに関すること、(3)QOL(PGCモラールスケール)、(4)主観的健康観・外出状況であった。調査の結果、以下のことが明らかとなった。1)男の61.9%、女の75、2%が痛みを有しており、加齢に伴い痛みを有する者の割合が増加することが認められた。また男に比べて女で痛みを有する者の割合は高く、痛みの強度が強くなるに従って女の割合が有意に高かった。2)男女とも下肢と腰部の痛みを訴えた者が多かった。3)外出状況では、痛みの強度が増すにつれて「めったに外出しない」と回答した者の割合が有意に高かった。また痛みの強度が増すに従ってQOL平均値は有意に低下し、主観的健康観が「わるい」と回答した者の割合は有意に高いことが明らかとなった。これらの結果から、看護ケアの面から痛みに対する知識や技術などのペインマネジメントを地域在住高齢者に導入することにより、高齢者の身体的な痛みを緩和することは重要である。さらにペインマネジメントの導入により、ADLやQOLの向上を図り、閉じこもりや寝たきりの予防に繋げることができると示唆された。
- 沖縄県立看護大学の論文
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