電顕酵素抗体法によるヌードマウス移植腎細胞癌とその初代単層培養におけるErythropoietin産生細胞の検討
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概要
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赤血球増多症を呈した患者由来のヌードマウス可移植性ヒト腎細胞癌とその初代単層培養におけるerythropoietin (Ep)産生細胞を電顕酵素抗体法を用いて検討した.ヌードマウス移植腎細胞癌は,光顕的には胞巣状に増殖する未分化な腫瘍細胞からなり,透過型電顕により観察すると,細胞質には散在性のグリコーゲン顆粒,少数の脂肪滴,豊富な遊離リボゾーム,比較的未発達な粗面小胞体を認め,核は核膜の陥入が著明で,heterochromatinの状態を呈し,細胞接着面にはtight junctionを,細胞表面には微絨毛を認めた.本腫瘍は初代単層培養で培養細胞の分泌・輸送機能を示すと考えられるdomeを形成し,このdomeを形成する細胞群のなかに粗面小胞体の発達した,電子密度の低い細胞(LED細胞)が認められた.LED細胞は微絨毛が少なく,核は卵円形でeuchromatinの状態を呈した.本腫瘍は,ヌードマウス移植系では明らかなEp活性を産生しないが,単層培養系では高値のEp活性を産生し,Ep産生とdome形成との間には密接な相関が認められた.抗Ep抗血清を用いた酵素抗体法によりEpの局在を検討したところ,ヌードマウス移植腫瘍には明らかな陽性染色が認められず,培養細胞にのみ陽性染色が認められた.このEp陽性細胞は主にdomeに局在し,電顕観察の結果,LED細胞と判明した.以上の結果はLED細胞がヒト腎細胞癌におけるEp産生細胞であることを強く示唆するものであるが,LED細胞の発生については今後の検討が必要と思われた.
- 社団法人日本泌尿器科学会の論文
- 1987-05-20
著者
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