身体障害に対する態度とその比較文化的考察
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概要
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絵画選択法により普通児を含む可視的な身体的異常もしくは障害児の絵を、小学生(9〜12才)、大学生(19〜23才)、肢体不自由児(9〜18才)合計569名について個別に好きな順に選択させたところ、わが国の被検者は、アメリカに比して健全な子どもを選択する率が高く、しかも各障害の順位はアメリカおよびイスラエルと較べてかなり異っていた。特は著明な傾向として、アメリカで顔面醜形や肥満の子どもが最も嫌われているの反して、わが国ではそれが普通児に次いで好かれ、機能障害の一種である上肢欠損の子が最も嫌われていた。予想に反して、機能障害の最も重い車椅子の子がそれほど嫌われなかったが、これは理解の不徹底によるところが大であると思われる。Richardsonらのいう身体障害児への文化的一様性の仮説は大体において支持してよいと思われ、文化や国民相互間で態度に差があるのは結局その社会に流れる価値的尺度の特性を示しているであろう。このような点から考察すると、身体障害者への態度は極めて根深いものがあり安易にその本質を論ずることはできないが、少なくとも偏見や観念的な判断から一般人を少しでも解放するためには、障害者という者を現実に人間として理解させる機会を健常者に与えることを考慮すべきである。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1971-06-01
著者
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