脳性まひ児の学習能率
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概要
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目的:脳性まひ児の学習能率についての研究をするため、ニィールセンらの方法を参考にし、迷路テストによって、つぎのような問題を中心に研究することを目的とした。1.脳性まひ児の学習能率、即ち、迷路を学習するために心要な試行数2.学習過程:学習曲線が規則的なものであるか、不規則的なものであるか3.退行:成功後の失敗の試行数と人数4.課題解決に意図的一貫性のある方法をとっているか、いないか5.固執性があるかどうか6.誤答分析からみた学習特性などを研究することである。方法:実験群は、都内養護学校児童10名(平均CA.8:10,平均IQ.111.4,S.D.=12.30)うち痙直型6名、アテトーゼ型4名、また男4名、女6名である。統制群として、都内小学校児童10名(平均CA.8:9,平均IQ.108.1,S.D.=8.33)うち男5名、女5名である。脳性まひ児については、出産時障害の老を対象とし、また発作のある者や極度の視力障害のある者は対象外とした。テスト用具は、レイが考案した迷路テストを若干改造したものであり、重度障害の被験者でも棒抜き作業ができやすいようにした。呈示方法は、4枚の板を被験者から少し離れた所にならべて、順序を一定にして前にさしだす。板には、どれも9本の棒があり、うち一本は抜けない棒で、互いに異った場所にある。ここでは、どれが抜けない棒なのかをあてさせるのであり、抜けた棒の数を誤答数とした。結果:主な結果は、次のようである。1.実験群が統制群よりも、学習能率について多くの試行数を要している。実験群と統制群の平均試行数はそれぞれ16.6,9.9であり、5%水準で有意差が認められた。2.統制群が試行数の増加と共に誤答数が下降するL型学習曲線なめに対して、実験群は誤答数や上下降の多い不規則な学習曲線である。3.ある試行時が無誤答であり、残り1〜2回の試行で学習が完了する場合、引き続く試行で失敗をし退行を示した人数を実験群と統制群についてみると、8人と4人で5%水準で有意差が認められた。4.課題解決法については、両群間に著しい差異はみられなかった。5.固執性は、実験群が統制群に比べて大であった。6.実験群は統制群にくらべて、誤答数が多く、空間的方向づけや時系列の障害も多くみられた。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1968-10-31
著者
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