笹地における牧草導入法とその効果に関する研究 : 第1報 5箇年間の機械力利用,追肥効果および更新牧草地の乳牛による嗜好性と採食活動

概要

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(1)収量笹地を完全耕起砕土した場合と簡易砕土によつて,種子床を造成し,これらについて追肥処理として対照区,石灰区,過石区および完全区を作つた。両地区の場合も対照,石灰区に対して追肥を行つた区は1.8倍〜4.2倍の増収が示された。(2)植生状況対照,石灰区は両地区ともに笹の再生が30〜45%も占め,不良であつたが,過石の追肥区は荳科草の生育が良好であり硫安の追肥区は禾本科草の生育が優れ,逆に笹の再生が抑圧されることが示された。(3)栄養組成Composite sampleによる分析結果では追肥によつて草量と草種割合の改善された区が蛋白質,カルシウム,燐含量が増加し,多汁な植生であることが示された。(4)根の状態両地区の対照および過石倍量区の根について調査したが,地上部草の草量および草種割合と地下部の状況とは興味ある関連を有することが認められた。(5)採食率両地区ともに追肥を行つた過石区,過石倍区および完全区が57〜63%の採食率に対し,対照区,石灰区は32〜41%と低かつた。(6)採食活動採食活動は採食率と同様な傾向を有し,追肥の区での活動が多かつた。また放牧前の植生に対し放牧後は主に笹,野草および禾本科茎部が残食された。
日本草地学会の論文
1960-01-15