牧草の再生に関する生理・生態学的研究 : 第3報肥料3要素および窒素施用の時期がバヒアグラッス(Paspalum notatum FLUGGE)の再生におよぼす影響

概要

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1.実験1は水耕法を採用し,窒素,燐酸および加里の欠除期間の差が,バヒアグラッスの再生におよぼす影響を知り,本牧草の追肥時期決定における一つの資料をうる目的で行なわれた。得られた結果は次の通りである。i.バヒアグラッスの初期再生にもっとも影響をおよぼす肥料要素は窒素で,ついで加里であった。本実験の期間では燐酸欠除は完全液との間に有意な差を認めることができなかった。ii.刈取処理前8日間の窒素の欠除は,本成分欠除期間の中ではもっとも影響が大きく,茎数のいちじるしい減少をもたらし,再生量をもはなはだしく低下せしめた。ついで刈取処理後8日間における窒素欠除の影響が大きく,刈取処理後9日目から8日間の窒素欠除の影響はもっとも小さかった。iii.加里が刈取処理後8日間欠除したときは再生量がもっとも少なく,刈取処理前8日間の欠除ではほとんどその影響が認められなかった。2.実験2は土壌をつめたポットを用い,20℃および33℃に規制されたファイトトロンのガラス室に置き,異なる温度条件の下におけるバヒアグラッスの窒素追肥時期が再生におよぼす影響を検討し,本牧草の窒素追肥適期の判定の資料をうる目的で行なわれた。得られた結果は次の通りである。i. 20℃のガラス室では,バヒアグラッスの再生部風乾重は刈取処理8日前,刈取処理時および刈取処理後8日目における窒素追肥の順に低下し,刈取処理8日前の窒素追肥は再生量をもっとも増加せしめた。また,株・根の風乾物についても同様な傾向が認められた。33℃のガラス室では,再生部の風乾重は刈取処理時,刈取処理8日前,刈取処理8日目の順に低くなった。20℃におけるこの結果は,ほぼこの気温に近いと考えられる条件下で行なわれた実験1の窒素欠除期間に関する結果を裏づけるものであろう。ii.粗蛋白質収量の点から見れば,バヒアグラッスの窒素追肥の時期は,20℃の場合には刈取処理前,33℃の場合には刈取処理時が適当と思われる。しかし,実際問題として,本牧草の刈取前追肥は技術的に困難と思われるので,刈取後できるだけ早く窒素の追肥をすることがのぞましいと思われる。
日本草地学会の論文
1966-03-30

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