1ダウン症児にみられた構音障害の継時的分析
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概要
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ダウン症児の構音障害の本態を捉えるため、1名のダウン症男児について3歳から12歳まで、誤構音と正構音の推移、母音と子音の獲得状況、音韻プロセスの特徴を調べた。誤構音の形式については、発声から音節構造未形成の段階をへて子音の省略と置換、そして正構音にいたる推移が認められた。その途上、不明瞭語が一定の割合を占めた。誤構音は完全には解消せず、12歳でも正構音率は50%に達しなかった。母音は順調には獲得されず、正産出されない母音の量が発語量と文長の発達にともないくり返し増加した。子音については、軟口蓋音が多い、口唇破裂音が少ない、摩擦音の獲得が遅れる特徴があったが、普通児と類似した獲得の順序性が認められた。音韻プロセスには、音節や語頭・語中子音の省略の段階から、子音の置換が多い段階への推移が認められた。本児の構音発達の特徴として、言語発達との非連動性および浮動性の持続が指摘され、発話における語や文の音形産出能力の欠陥が推測された。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1997-11-30
著者
-
原 幸一
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
-
西村 辨作
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
-
西村 辨作
愛知淑徳大学医療福祉学部
-
西村 弁作
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
-
綿巻 徹
愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所
-
西村 辨作
愛知県心身障害者コロニー
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