鼻咽腔閉鎖機能軽度不全を伴う口蓋裂児の指導経過(実践研究特集号)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
粘膜下口蓋裂術後に鼻咽腔閉鎖機能軽度不全を伴った口蓋裂児の構音指導について報告した。本症例は、ほとんどの音が一貫した声門破裂音を呈し典型的な口蓋裂言語の症状を示していた。鼻咽腔閉鎖機能については、吹く訓練を実施した結果、機能改善が認められたので医療処置をせずに構音指導を開始したが、正常構音獲得までに1年6ヵ月を要した。指導が長期化した最大の要因として、患児側の聴覚的弁別力の低さ及び数回にわたる中耳炎罹患、指導者側の問題としては鼻咽腔閉鎖機能に対する判断力の正確性があげられた。本症例のような閉鎖機能軽度不全という境界域タイプに対する指導は、医療処置の要・不要の判断を含め極めて困難な場合が多いが、より多くの臨床経験を積み確実な判断力を身につけることが必要であると示唆された。
- 日本特殊教育学会の論文
- 1997-03-31
著者
-
藤井 和子
上越教育大学障害児教育講座
-
藤井 和子
上越教育大学特別支援教育講座
-
藤井 和子
Division of Special Education
-
湧井 豊
上越教育大学障害児教育講座
-
高橋 登
新潟県立小出養護学校
-
藤井 和子
上越教育大学大学院学校教育研究科
関連論文
- 自立活動の理念と実践
- 知的障害養護学校教員の個別の指導計画作成に対する捉えの構造
- 病弱養護学校教員の個別の指導計画作成に対するとらえの構造
- 知的障害及び情緒障害特殊学級における養護・訓練の「時間の指導」の実施に関わる要因
- 特殊学級担任教員の特性と職務
- 言語通級担当教員の特性と職務満足感
- 特別支援教育における難聴・言語通級担当教員の専門的力量形成に関する研究 : 新潟県における実態調査から
- 摂食指導を担当する養護学校教員の研修
- 肢体不自由養護学校における摂食指導に関するコンサルテーション : 経管栄養を必要とした児童への指導事例を通して
- チームアプローチによる脳性まひ児への指導について
- PAC分析を利用した養護学校新任教師の自己研修法の検討
- 口腔筋機能療法の応用による構音指導
- 言語障害特殊学級における構音指導--日言研〔日本言語障害児教育研究〕大会参加者の問題意識調査から
- 我が国における言語障害教育の成立過程について : 揺籃期における取り組み
- 鼻咽腔閉鎖機能軽度不全を伴う口蓋裂児の指導経過(実践研究特集号)
- 精神遅滞児の音声言語発達経過の1例 : ひらがなを媒介としたやりとり行動の成立を通して(実践研究特集号)
- 測音化構音の指導法に関する研究
- 構音指導における口腔筋機能療法(MFT)の有用性について
- 297 三項関係の成立と指示・提示行動の発達的研究 : (1)対物操作の発達と提示行動出現の発達的意味について(言語行動,発達12)
- 障害児教育講座史
- 内地留学経験のある新潟県言語障害通級担当教師の現職研修の実態と課題