日本の鯨類捕獲調査(JARPA/JARPN)における爆発銛改良実験(その他(動物福祉))
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
(財)日本鯨類研究所は,国際捕鯨取締条約第8条に基づき日本政府が発給した特別許可による鯨類捕獲調査を,南極海(JARPA)および北西太平洋(JARPN)で行っている.鯨類捕獲調査では,致死的調査における動物福祉を向上させるため,詳細なデータ収集と解析に基づく鯨の致死時間(TTD)短縮および即死率(IDR)向上の努力が払われている。漁具改良による致死時間短縮を目指し,2000年から2004年にかけて鯨の捕獲に用いる爆発銛に搭載する銛先(グレネード)の改良実験を行った。ノルウェーが1999年に開発した新型グレネードおよび,日本の旧型グレネードの信管を改良した改良型グレネードを,旧型グレネードとともに比較実験した。ノルウェーグレネードおよび改良型グレネードは旧型と比較してTTDおよびIDRを有意に改善した。人工標的射撃実験及び洋上での検死結果から,その理由は両者ともに銛命中から爆発までの距離が短縮されたこと,および不発率が減少したことにより,グレネードの鯨体内での爆発率が大幅に向上したためと考えられた。ノルウェーグレネードと国産改良型グレネードを比較した場合,前者は小型個体の即死率が高い一方,後者は致死時間が短く不発率が低いなど,両者は捕殺手段として優劣つけがたかったが,コストと安定供給の側面からは将来の捕鯨漁具として国産改良型グレネードが推奨された。
著者
関連論文
- アジア系コククジラの記録--その分布と回遊
- 2005年に東京湾に出現したコククジラの観察
- なぜ南極海での暴力が放置されるのか?--くり返される鯨類調査への妨害活動
- 相模湾および周辺海域に来遊する海産哺乳類
- 激突! ポール・ワトソン×石川創 日本人はなぜ、鯨もマグロも食べられないのか
- 日本の鯨類捕獲調査(JARPA/JARPN)における爆発銛改良実験(その他(動物福祉))
- 日本の南極海鯨類捕獲調査におけるクロミンククジラBalaenoptera bonaerensis捕殺方法の研究(動物福祉)
- グリーンピースと動物福祉 : 「環境保護団体」は南極海で人と鯨に何をしたか
- 漂着鯨類の情報収集・蓄積と社会的活用(シンポジウム:流れ寄るモノの沿岸海洋学-海岸漂着物の現状・対策・未来-)
- 南極海鯨類捕獲調査(JARPA)の展開
- 南極海産クロミンククジラ卵母細胞の体外成熟および凍結過程における微細構造の変化(繁殖学)
- 野生動物の致死調査(野生動物医学における動物福祉,第15回日本野生動物医学会大会シンポジウム)
- 動物福祉とは何か(野生動物医学における動物福祉,第15回日本野生動物医学会大会シンポジウム)
- 6. クロミンククジラ(Balaenoptera bonaerensis)の葉状骨形成過程におけるVI型コラーゲンの発現に関する研究(第19回 日本獣医畜産大学学術交流会(動物医療センター竣工記念))
- 顕微注入マウス卵子の減数分裂再開で評価した南極海産ミンククジラ雄性生殖細胞が卵子活性化因子を獲得する時期
- クロミンククジラGV期卵子のガラス化保存と体外成熟
- 平衡段階数, 糖類の種類およびクジラ卵胞液の添加がガラス化クジラ卵子の生存率と成熟率に及ぼす影響
- ウシ卵子を用いた異種顕微授精系により評価したクジラ精子由来の星状体形成の有無
- 携帯用炭酸ガス培養器を用いたクロミンククジラ卵子の体外成熟培養の試み
- 凍結融解ヒツジおよびミンククジラ精子における精子性状検査器と低張膨化試験の有効性
- 日本における海の哺乳類の現状と人間との関係(海の野生動物医学 : 海棲哺乳類における獣医学の役割)
- ミンククジラBalaenoptera acutorostrataの胎子歯芽の発生と生理学的退行時におけるフイブロネクチン, テネイシン, コラーゲンI, III, IV型及びラミニンの免疫組織学約分布
- 南半球産ミンククジラ Balaenoptera acutorostrata の歯芽発生とその生理的退行およびヒゲ板の発生
- 鯨の保護は地球環境を救うか? : 暴走する「環境保護」団体の奇妙な論理
- 南極海で撒き散らされる暴力と、嘘と、環境汚染
- 鯨の捕獲調査は非人道的行為か?
- 鯨の捕獲調査は非人道的行為か?
- 人道的捕殺とは何か -捕鯨と動物福祉-
- 1997年度北西北太平洋鯨類捕獲調査航海記
- ストランディングレコードから見た日本沿岸の鯨類の生態(II)
- ノルウェー捕鯨事情(5完)
- ノルウェー捕鯨事情(4)鯨肉の加工と流通
- ノルウェー捕鯨事情(3)
- ノルウェー捕鯨事情(2)
- 特別読物 ノルウェー捕鯨事情(1)
- 日本における鯨類の管理と保護 (特集 野生動物モニタリングと環境保護--第134回日本獣医学会学術集会 シンポジウムより)
- 大型鯨類のライブストランディング--その問題点と対応
- 日本海の鯨類のストランディングレコード
- 放置される海の暴力 (特集 これからの水産を考える)