平安文学語彙の研究 : 『紫式部日記』における"うるはし"
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概要
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平安文学にみられる「うるはし」という形容語は、平安文学中で核となって活躍する語の一つである。この形容語について、本稿では短い作品ではあるが、平安時代の女流日記の代表作、『紫式部日記』を取り上げて研究した。この短い作品中に「うるはし」という言葉は七例見当たる。その「うるはし」という讃美の言葉の意味・対象・内容・美の種類・用法などの諸相について、用例をすべて抄出し、詳細に研究した。すると、この短い『紫式部日記』中の「うるはし」から、かねて「うるはし」美は中国的美感のする語と考えていたが、ここに唐風のものを対象に、唐風の美的表象が、「うるはし」を対象として鮮明に描かれているのは一例のみではない。そういった実例から、「うるはし」という美の種類は中国的美であることを強化することができたのは意義深い。 また、「うるはし」以外の近似した形容語についても、用法の違いなどについて触れてある。 この作品にみられる「うるはし」の対象とする、女性の装束美や黒髪の整髪美はこの作品のみでなく、『源氏物語』や『枕草子』など、平安文学中に多く表れるものである。それらからわかること、それは、「うるはし」は人の手が加わって美しく整えられ、仕上ったものを讃美する言葉として使われる。
- 2008-01-31
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