平安文学語彙の研究 : 『竹取物語』における"うるはし"
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概要
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『竹取物語』は我国で現存する最古の物語文学である。この物語の中に、後世の文学作品において、隆盛を極める「うるはし」という讃美の言葉が七例見当たる。その「うるはし」という言葉の意味・対象・讃美の内容・用法等の諸相について、用例文をすべて抄出し、詳細に研究した。そして、「うるはし」という語の特性を把握し、後世の『源氏物語』や『枕草子』中に頻出する「うるはし」は、どのように発達、転移、変化していくかを知りたく、研究を重ねているところである。また、「うるはし」と近似した美的語詞との比較、共存などについても論じてある。 『竹取物語』に表れるこの七例の「うるはし」のほとんどが、神仙思想の場面に用いられ、中国的語感があることから考え、『竹取物語』の源泉は、チベット地方一帯に伝わる『斑竹姑娘』であるとかっていわれてきた。この「うるはし」という美感も、この『斑竹姑娘』という作品から流出してきたのかも知れないと思うことしきりで、紙幅の許す限り紐解いてみた。そうすると、『竹取物語』中にみられる「うるはし」を現代語に置き替えると、「美麗」とか「立派」とか「美しい」になるが、その「美麗」という言葉が存在しているのには一興である。
- 2007-03-20
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