ラットにおけるTNBS誘発大腸過敏症にともなう大腸内粘膜型肥満細胞浸潤(薬理学)
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概要
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2,4,6-trinitrobenzene sulfonic acid(TNBS)をラットの近位大腸内に投与すると,遠位大腸の伸展刺激に対する痛み感受性の有意な増大が認められた.TNBSに直接暴露された近位大腸には粘膜壊死と炎症性細胞浸潤が認められ,組織中ミ***パーオキシダーゼの有意な増加が認められた.一方,遠位大腸には粘膜壊死は発生せず,ミ***パーオキシダーゼ含量の増加も認められなかったが,トルイジンブルー陽性粘膜型肥満細胞が有意に増加していた.さらに遠位大腸組織を器官培養し,粘膜型肥満細胞脱顆粒の特異的なマーカーであるrat mast cell protease-2(RMCP-2)の遊離量を測定したところ,TNBS処置ラットでは正常対象値と比較して有意なRMCP-2遊離量の増加が認められた.また,肥満細胞安定化作用を持つデドキサントラゾールの皮下投与によりTNBS誘発大腸過敏は有意かつ用量依存的に抑制された.以上の成績から,脱顆粒亢進を伴った大腸粘膜肥満細胞浸潤によるメディエーター遊離亢進がTNBSによる大腸過敏症の発現に関与していることが示唆された.
- 2007-12-25
著者
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河合 光久
株式会社ヤクルト本社 中央研究所
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榑林 陽一
ファイザー研究所
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榑林 陽一
ファイザー(株)中央研究所
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岩田 博司
ファイザー製薬(株)中央研究所
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大橋 雅津代
ファイザー(株)中央研究所
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佐藤 靖
ファイザー(株)中央研究所
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河合 光久
ファイザー(株)中央研究所
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岩田 博司
ファイザー(株)中央研究所
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河合 光久
ヤクルト中央研究所
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