microPETを用いたTNBS誘発大腸過敏症にともなうラット脳活性の解析(薬理学)
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概要
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^<18>F-fluorodeoxyglucose (^<18>F-FDG)をトレーサーとしたmicroPETを用いて2,4,6-trinitrobenzene sulfonic acid (TNBS)によって誘発した大腸過敏症にともなうラット脳活性の変化を解析した.TNBSをラットの近位大腸内に投与すると,遠位大腸の伸展刺激に対する痛み感受性の有意な増大が認められた.TNBSによる大腸過敏は投与後7日目において最も顕著であり,全てのTNBS処置ラットは35mmHg以下の伸展刺激により特徴的な痛み行動を示した.microPETを用いて脳活性を測定すると,視床および第一次体性感覚野に局在する優位な活性増加が認められた.一方,TNBS未処置対照ラットはいずれも35mmHg以下の伸展刺激では痛み行動を示さず,脳活性にも有意な変化は認められなかった.TNBS処置ラットにおける遠位大腸伸展刺激に対する痛み行動と視床および第一次体性感覚野の活性増加は中枢性鎮痛薬morphine (375μg/kg)の皮下前投与により完全に消失したことから,microPETにより検出された脳活性の変化は痛み反応に基づく現象であることが強く示唆された.以上の成績から,正常ラットでは痛み反応を引き起こさない程度の伸展刺激でもTNBS誘発大腸過敏症ラットでは痛み反応と局在的な脳活性の増加を引き起こすことが明らかになった.本研究で用いたmicroPETを用いた脳活性測定法は大腸過敏症治療薬の薬効を客観的に評価するうえで有用であると考えられる.
- 2008-01-25
著者
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榑林 陽一
ファイザー研究所
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榑林 陽一
ファイザー(株)中央研究所
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大橋 雅津代
ファイザー(株)中央研究所
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市川 克臣
ファイザー(株)中央研究所
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CHEN Laigao
Discovery Biology, Pfizer Global Research and Development, Ann Arbor Laboratories
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CALLAHAN Michael
Discovery Biology, Pfizer Global Research and Development, Ann Arbor Laboratories
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ZASADNY Kenneth
Discovery Biology, Pfizer Global Research and Development, Ann Arbor Laboratories
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Chen Laigao
Discovery Biology Pfizer Global Research And Development Ann Arbor Laboratories
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Callahan Michael
Discovery Biology Pfizer Global Research And Development Ann Arbor Laboratories
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Zasadny Kenneth
Discovery Biology Pfizer Global Research And Development Ann Arbor Laboratories
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