妊婦運動が出産に対する自己効力感に及ぼす影響についての検討

概要

論文の詳細を見る
本研究の目的は,出産に対する自己効力感を高める援助の1つとして妊婦運動が有効かを検討することである。研究対象は,妊婦水中運動プログラムに参加している初産婦56名と,運動を実施していない初産婦32名で,自記式の質問紙調査を行った。質問項目の中で,出産に対する自己効力感は島田らが開発した尺度を用いた。結果は,運動群と非運動群では自己効力感に有意差はなかった。運動群の中では,累積運動時間が長いほど「体力面でお産に負けない」という項目が有意に高く,累積運動時間が440分以上の群は,440分未満の群より「体力面でお産に負けない」という項目が有意に高かった。1回の運動時間が40分の群は,20分の群より「体力面でお産に負けない」という項目が有意に高く,累積運動時間が長いほど「呼吸法がうまくできる」という項目と結果予期15項目の合計点が有意に高かった。また,運動を続けてきたことに達成感を強く感じる妊婦ほど,自己効力感が高かった。そこで,妊婦運動を継続することで出産に対する自己効力感,特に体力面が高まることが示唆された。有効な運動としては,1回の運動時間を十分に設定し,長期間行うことが大切である。
日本母性衛生学会の論文