妊婦が抱く育児に対するイメージ : 第1子を育児中の母親との比較から

概要

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本研究の目的は,妊娠中の母親が抱く育児のイメージと,実際に育児中の母親の思いを比較することから,育児経験のない妊婦がもつ育児のイメージと現実の差異を明らかにし,妊娠中からの育児支援への示唆を得ることである。対象は第1子を妊娠中の妊娠16週以降の正常妊婦(妊娠群)および第1子で1歳までの子どもの母親(母親群)であった。研究方法として「育児幸福感質問紙」「育児ストレス尺度」「主観的幸福感尺度」「結婚の現実尺度」からなる質問紙調査を行い,それぞれ44名と42名から回答を得た。その結果,妊婦群と母親群では育児ストレス得点に有意な差があり,妊婦群が高かった。妊婦群では「育児幸福感」と「主観的幸福感」および「結婚の現実」に相関があり,母親群では「育児幸福感」と「主観的幸福感」に相関がみられた。妊婦は育児の楽しさや喜びよりも大変さや辛さをイメージし,さらに妊婦の「育児幸福感」のイメージには夫婦関係が関連することが明らかになった。妊婦へ育児の楽しさや喜びを伝えていくことや,妊婦だけではなく夫婦一体としてケアをしていく必要性が示唆された。
日本母性衛生学会の論文