適応型合意形成過程の基礎理論(基礎理論)
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
本稿の第1の目的は,固定係数からなる適応型合意形成過程がオピニオン・ダイナミクスと形式的に一致することを示し,系の不動点が初期選好インデックスと確率行列のFrobenius根,1に対応する左固有ベクトルから算出することができること,標準的な仮定の下で選好インデックスの収束が保証されることを示すことにある.さらに,循環的選好を持つ集団が選択肢間に順位付けを行うためにはエージェント間で適応係数が異なることが必要であること,および同じ初期選好インデックスを持つ2つの同質的集団の合意結果は一致することを証明する.また,時変適応型合意形成過程の収束条件を与えるとともに,投票のパラドックスから抜け出すためには各期における適応係数の混質性ではなく,期間を通じた混質性が必要であることを強調する.本稿の第2の目的は,集団構成員が互いに直接,意見交換を行うことによって合意形成を行う2つのモデル,すなわち同時いっせいに意見交換を行う同時調整過程と,あらかじめ定められた順番で意見交換が行われる逐次調整過程を提示し,これらの選好インデックスの収束条件を与えることにある.これら2つのモデルの考察から,エージェント間における最新情報公開のタイミングの相違が投票のパラドックスから抜け出す一因となることを示す.
- 一般社団法人情報処理学会の論文
- 2007-11-15
著者
関連論文
- 集団的挙動の循環現象
- 情報技術と最適化アルゴリズム
- 合意形成のための交渉回数に関する一考察
- 改良代理制約法における等式制約問題(高木教典教授・井上宏教授・水越敏行教授定年退職記念)
- 合意形成過程における順応と説得(情報システムと社会)
- 離散最適化アルゴリズムの2次計画問題への応用(最適化(1))
- 情報技術と最適化アルゴリズム (先端科学技術推進機構研究グループ)
- 階層集団における集団的意思決定
- 財の不分割性と資産選択問題(改訂)(高木教典教授・井上宏教授・水越敏行教授定年退職記念)
- 適応型合意形成過程の基礎理論(基礎理論)
- 適応型合意形成モデルの基本性質(情報システムの理論)
- 人工社会における集団的意思決定(矢島脩三教授定年退職記念)
- 情報伝播と入学志願者数の変動