わが国健康女性のナトリウム摂取量に関する基礎研究 : 尿中ナトリウム排泄量を根拠とした若い女性の食塩摂取量
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概要
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我々は,わが国健康成人のミネラル摂取量に関する基礎研究を実施している。本研究では,健康な女性を対象に,日常食におけるナトリウム摂取量に関する研究を目的とした。日常食摂取時及び実験食摂取時の,尿中ナトリウム濃度の平均値,尿細管の濾液におけるナトリウム濃度の平均値を測定した。さらに,ナトリウム・クリアランスと食塩摂取量の相関及び尿中塩分排泄量と食塩摂取量の相関などを検討した。これらの成績をもとに,若い世代の女性の食塩摂取量を明らかにした。生化学検査として24時間蓄尿と空腹時採血を実施し,血清,尿中の,クレアチニン,ナトリウム,カリウム,カルシウム,マグネシウムなどを測定した。ミネラルは実験食中のものについても測定した。さらに,実験実施前日の日常食の食事摂取内容,実験実施前日の実験食の摂取内容,連続した1週間の食事摂取内容を被験者に記録させ,その上で面接して食塩摂取量などを算出した。その結果,尿中塩分排泄量と食塩摂取量(実験実施前日)の間で高い相関が認められた(日常食r=0.98,実験食r=0.94)。このことから,24時間尿中塩分排泄量と食塩摂取量(実験実施前日)との間で,量反応関係が確認された。便中などへの不可避損失分を考慮すると,日常食摂取時の塩分排泄量は1日当たり平均で9.3g(ナトリウム159.2mmol当量)と推定された。また,1週間食事摂取内容からの平均食塩摂取量は1日当たり8.8g(ナトリウム150.6mmol当量)と計算された。これらの成績から,若い世代の女性の日常食からの食塩摂取量は,1日当たり平均値で10g未満であることが実測された。したがって,減塩指導は対象者の食行動を十分に配虜したうえで,個人対応をすることが肝要であることを示した。
著者
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柳 元和
帝塚山大学現代生活学部臨床医学
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柳 元和
大阪市大・医・公衆衛生
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島田 豊治
帝塚山大学現代生活学部
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柳 元和
大阪市大 医 公衆衛生
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柳 元和
東大阪大学短期大学部 家政学科生活福祉専攻
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柳 元和
たかもと共立診療所
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柳 元和
大阪市立大学医学部公衆衛生学教室
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柳 元和
帝塚山大学現代生活学部
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柳 元和
帝塚山大 現代生活
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