脳血管障害・頭部外傷患者における「意識」の概念分析
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概要
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[研究目的]脳血管障害と頭部外傷患者を対象とした「意識」という概念がもつ特徴を明らかにすることである。[研究方法]概念分析手法は Walker & Avant の概念分析を使用した。データは,キーワーズをPubMed,CINAHL,PsyclNFO,医学中央雑誌,日本看護索引に投入して収集した。最終的に62'文献とその文献に頻回に使用される図書5冊を対象とした。[結果]属性は,(1)網様体賦活系機能に関係する覚醒が認められる,(2)意識は,覚醒と気づきの連続体上にある,(3)意識には段階・レベルがある,(4)意識は変化しやすい動的なもの,など7つが抽出できた。先行要件は,(1)意識に影響を与える脳・神経組織の損傷,(2)変化のない非系統的ケアの提供などの「害的先行要件」と,(1)脳に刺激を与える看護ケアの提供,(2)強靱で非凡な看護チャレンジなどの「有益的先行要件」に分類できた。帰結は,(1)反応の変化,(2)コミュニケート・意思疎通ができるなどの「意識改善」の帰結,(1)コミュニケーション障害,(2)遷延性意識障害・植物症・死への移行などの「意識悪化」の帰結,(1)家族の患者への思い・満足度,(2)院期間の短縮・延長といった「二次的な帰結」に分類できた。[考察および結論]7つの属性から脳血管障害・頭部外傷患者に対する「意識」の概念を「覚醒と気づきから構成され,それらは連続体上に位置する動的で,レベルをもつものである。また個人の生活において当然のように活用されているが,直接見ることはできず,反応や行動で推論できるものである」と定義づけた。また,先行要件である看護ケア提供の仕方,看護チャレンジなどは,障害した意識を回復させるという観点でなく,より向上させる・より低下させないという観点にあると考えた。その観点に立てば,少しの向上の先に何がもたらされるのかという考えができ,反応の変化やコミュニケートできるといった帰結につながると考えられた。この観点が,看護師が意識向上ケアに携わる核になり,患者の真の利益になると捉えられた。
- 2005-06-20
著者
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