水酸化ナトリウム処理稲わらサイレージの発酵経過ならびに山羊による摂取量および消化率

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稲わらの摂取量およびエネルギー価を高めるための水酸化ナトリウム(NaOH)前処理およびサイレージ化の効果について検討するため,細切稲わらに対しNaOH処理量を材料乾物の0,3,6,9%,水分段階を40,50,60,70%としてNaOHをスプレー処理後サイロに埋蔵し,貯蔵60日目まで発酵経過を調べるとともに,材料乾物の0,3,6および9%のNaOHで前処理後埋蔵した4種の稲わらサイレージについて,また材料乾物の6%のNaOHで処理した未貯蔵稲わらとこれをサイレージとしたものとについてそれぞれ山羊による嗜好試験および消化試験を行なった。稲わらのIVDMDはNaOH処理量の増加に伴ない向上し,またNaOH3-9%処理では貯蔵期間の経過に伴ないさらに向上した。pHはNaOH処理量の増加に伴ない高くなったが貯蔵期間の経過とともに低下した。有機酸総量はNaOH3%処理で最も多く,それ以上の処理量で低下し,酢酸はNaOH3-9%処理で増加し,乳酸はNaOH6,9%処理で減少し,酪酸はNaOH6,9%処理では存在しなかった。サイレージの乾物摂取量はNaOH0,3,6,9%処理でそれぞれ22.3,34.7,45.3,37.4g/W^0.75kgであった。サイレージの繊維性成分の消化率はNaOH処理量の増加に伴ない向上したがNaOH9%処理ではやや鈍化した。TDNはNaOH0,3,6,9%処理でそれぞれ37.8,50.2,56.8,56.1%となった。NaOH6%処理未貯蔵稲わらと同サイレージの乾物摂取量およびTDNはそれぞれ42.4,51.89/W^0.75kgおよび54.4,57.5%であった。以上の結果から,稲わらサイレージ調製に先立つNaOH処理およびその後のサイレージ化は稲わらの摂取量およびエネルギー価を高めるうえで効果的であり,その際のNaOH処理の適量は材料乾物の6%程度と考えられる。
日本草地学会の論文
1984-04-30

著者

高橋正行
富山県立技術短期大学

水酸化ナトリウム処理稲わらサイレージの発酵経過ならびに山羊による摂取量および消化率

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