サイレージの品質におよぼす埋藏時の空気混入率の影響 : 第10報埋蔵時の空気混入率と貯蔵初期の蛋白質の分解程度との関係

概要

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埋蔵時の空気混入率と貯蔵初期における蛋白質の分解程度との関連性について検討するため,2つの試験を行なった。試験Iでは,粗蛋白質(CP)および水溶性炭水化物(WSC)含量の異る4種のイタリアンライグラスを用い,それぞれ埋蔵時の空気混入率を3段階に変えて埋蔵し,蛋白質の分解程度とpHおよび有機酸の生成程度とを経時的に調べた。また試験IIでは,貯蔵初期に蛋白質の分解により生ずるアミノ酸(NH_2-N)の多少が有機酸の生成に影響を与えるかどうかを検討するため,埋蔵時にNH_2-Nを100mg%および200mg%添加したイタリアンライグラスについて発酵過程を調べた。貯蔵過程中の蛋白質の分解の大部分は埋蔵後7日間程度のごく初期に起こり,それは主にアミノ酸への加水分解であった。アミノ酸からのアンモニア生成は主に埋蔵後21日目以降に著しい場合とそうでもない場合とがあった。蛋白質の分解は埋蔵時の空気混入率が小さいほど急速に起こり,かつ分解の程度も大きかった。材料のCP含量が高く,WSC含量が低く,しかも埋蔵時の空気混入率が小さくて貯蔵初期の蛋白質の分解程度が大きくなり,かなりのNH_2-Nが蓄積される場合には,それにより乳酸の生成が抑制され,品質低下を招く可能性があることが推察された。
日本草地学会の論文
1972-12-25

著者

高橋正行
富山県立技術短期大学

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