牧草の刈取適期 : 第1報.イタリアンライグラス個体群の生長に対するロジスチック式の適合について
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概要
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牧草の刈取適期の判定のためには,まず経時的に連続した生長の実態の把握が大切である。現在,普通に利用されている生長解析の手法は,連続的な曲線となるべき生長函数が,非連続的な直線のつながりとしてしか得らない欠点がある。また,実測値は種々な偶然的要因の影響をうけて攪乱されている。実測値の統計的取扱いによって,これを回帰曲線にならすことができれば,連続的な生長の実態の把握も可能になると思われる。ここに,イタリアンライグラスを用い,秋,冬,春の各生長経過に対するロジスチック曲線の適合について検討した。地上部乾物増加のロジスチック式は,全事例とも回帰係数0.1%水準で有意であり,生長経過に忠実な回帰曲線を得ることができた。葉面積指数増加のロジスチック式は,全事例(9例)のうち2例は,最適葉面積指数期以降における軽度の倒伏や水分障害のために,ロジスチック式によって回帰処理を行うことができなかったが,残りの7例では,いずれも回帰係数が0.1%水準で有意なロジスチヅク回帰曲線を得ることができた。なお,各ロジスチック式のパラメーターkの値によって地上部乾物増加曲線或は葉面積指数増加曲線の立ち上り勾配を比較することができるが,これは年度,季節によって異なり,春,秋,冬の順にゆるやかになる。さらに,積算温度或は積算日射量と地上部乾物増加との間にも回帰係数1〜0.1%水準で有意なロジスチック回帰曲線を認め得た。概して積算温度或は積算日射量に対する地上部乾物増加曲線の立ち上り勾配は,平均気温が低いほど或は平均目射量が強いほど急である。
- 日本草地学会の論文
- 1976-12-25
著者
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