草地造成における表面播種法の改善 : 第4報 表面播種のための播種床の条件
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概要
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表面播種法が成功するための播種床の条件を探索する目的でススキ草地を用いて蹄耕の有無,砕土の有無,元肥の多少,種子のCoatingの有無など播種床の改善法に関する2^4の多元配置試験を実施した。供試草種はシロクローバ0.5kg/10a,オーチャードグラス2.5kg/10aの混播とした。結果は次のとおりである。ア.個体数播種してから2ヶ月間の個体数の変化をみると,蹄耕砕土区,無蹄耕砕土区,無蹄耕無砕土区,蹄耕無砕土区の順に個体数が多かった。播種床の条件がよければシロクローバよりもオーチャードグラスの個体数が多くな[table]る。播種床の条件のよい蹄耕砕土区,無蹄耕砕土区では個体数が多いが,播種1ヶ月後をピークとして以後は減少する。出芽した個体数の少ない区ではこの傾向はあまりない。造成後の数ヶ月間に個体数が著しく減少することは避けられないが,密度の調査は播種2ヶ月後に行なえば十分に目的を達成することができる。イ牧草の収量処理区別の牧草収量の高い順にのべると次のようになる。[table]造成当初の個体数の多少と年内刈および翌年1番刈収量とが必らずしも一致しないのは施肥その他の播種床の条件によって各処理区の牧草の生育程度が著しく異なってくるためであろうが,なるべく早く一定量以上の収量がとれて高い牧草率を示す牧草地をつくる必要がある。植生は造成以後の維持管理によって変化するので,多肥条件で刈取や放牧を適正に行なえばかなり確実に牧草地化することができる。ウ.砕土の効果出芽個体数から判断すると播種床の改善に最も役立つのは砕土処理で,これに多肥条件が加わればより確実になる。また前植生をつよく破壊しなくても単に適期に施肥播種するだけで牧草の種子が出芽し,定着した。エ.蹄耕の効果蹄耕処理の効果は家畜による前植生の採食と踏圧による野草の枯死が主なもので,播種直後に行なわれる放牧で牧草種子が蹄によって土の中へ踏みこまれて出芽個体数がふえるという効果は少ない。オ.肥料の効果肥料についてみると,砕土処理条件ではクローバは多肥区では少肥区に比べて出芽してくる個体数が少なく,幼植物の肥焼けが考えられた。オーチャードグラスの個体数は多肥条件でもあまり減少しない。カ.Coatingの効果種子のCoatingの処理がオーチャードグラス,シロクローバの出芽や個体数の確保に有効であったか否かは明らかではないが,これは播種前後に適度の降雨があり発芽の環境がよかったためであろう。
- 日本草地学会の論文
- 1973-04-25
著者
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