草地造成における表面播種法の改善 : 第1報 種子のWet Coatingの効果と実用性
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概要
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草地造成における表面播種法の確立を目的として牧草の種子を用いて造粒しこれを播種するPellet Seeding法の導入を検討するための基礎として無加熱転動方式による造粒法の確認と造粒種子の発芽への影響などについて一連の実験を行ない次のような結果を得た。ア,造粒剤と接着剤被覆材料として炭酸カルシウム,珪藻土,ピートモス,ベントナイトなどを用い,メチルセルローズ3%水溶液を接着剤としてヘアリーベッチの種子について造粒し発芽試験を行なったところ,いずれも材料としてすぐれ,よい発芽率が得られた。接着剤としてメチルセルローズ3%,アラビアゴム13%,ポリビニルアルコール3%,ドハロン5%,ボンド30%,アルギン0.75%の6種類を珪藻土を造粒剤として造粒して比較したところ,メチルセルローズとアラビアゴムの組合せがよかった。しかし市販の工業用ボンドでも造粒性がよくあまり発芽低下がみられなかった。イ粒剤への各種肥料混入の可能性前の実験からピートモス30,炭カル50,ベントナイト9,水銀粉剤1の重量割合で混合した造粒剤とボンド30%液を接着剤として使用し,これに各種の肥料混入の多少がクリムソンクローバの発芽にいかなる影響をおよぼすかを検討した。a硫安硫安を造粒剤中に混入するには5%でもかなりつよい発芽障害がみられる。さらに低い割合については検討する必要がある。bリン酸肥料過石を造粒剤の中に混入すると5%以下ならば発芽を阻害しないようである。熔リンは20%まで混入できるがガラス質であるため造粒性は低い。c塩化カリ塩化カリを造粒中に混入すると5%でも著しく発芽を阻害する。d化成肥料化成肥料(15-15-15)を造粒剤中に混入するときは5%までならはあまり発芽を害しない。e乾燥鶏糞と堆肥乾燥鶏糞を造粒剤に混入するには5%が限度である。また堆肥は25%以下の混入までは発芽を阻害しない。堆肥の乾燥粉末は造粒性がすぐれている。ウ農薬の混入と発芽a殺虫剤ヘプタクロール,エスセブンともにクリムソンクローバの発芽を阻害せず100%で被覆造粒してもよい。b殺菌剤水銀粉剤を混入するには20%が限度であるが1%の混入で十分に殺菌効果がある。エ,造粒の草種適用性無肥料条件で造粒した場合と造粒剤中に5%の化成肥料を混入した場合について寒地型イネ科草10種,寒地型マメ科草10種,および暖地型イネ科草8種を用いて3週間発芽試験を行ない草種の適用性を検討した。a寒地型イネ科草造粒によって発芽によい影響をもたらすのはスムースブロームグラス,リードカナリーグラス,チモシーなどで,オーチャードグラス,トールフェスキュ,ケンタッキーブルーグラスなどには適していないようである。造粒中に化成肥料を混入しても発芽が低下しないのはスムースブロームグラス,チモシー,イタリアンライグラスなどであり,オーチャードグラス,トールフェスキュ,ペレニアルライグラス,ケンタッキーブルーグラスなどでは肥料の混入は適していないようであった。b寒地型マメ科草造粒はヘアリーベッチ,アルファルファ,ラジノクローバ,シロクローバに有効でルーピンには不向きであった。マメ科草の種子はイネ科草の種子に比べて造粒に適している。化成肥料の混入についても上にのべた草種は適していた。c暖地型イネ科草ハイブリッドソルゴー,ローズグラス,バーミュダグラスなどは造粒によって発芽がよくなり,パールミレットには造粒は不向きであった。造粒剤への肥料の混入はローズグラス,バーミュダグラスに有効である。
- 1972-12-25
著者
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