水耕におけるトウモロコシ幼植物の種子根の屈曲の品種間差異に及ぼす内的要因
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概要
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トウモロコシの幼植物を12時間照明,22±℃の条件で通気しながら水耕すると種子根が屈曲を示すことがあるが,その程度は品種によって異なる.根の屈曲の機作を探るために一連の実験を行い,次のような結果を得た. 1)品種:12品種を供試した結果,品種によって根の屈曲が異なり,スィートコーン類(SC)は曲がりやすく,デントコーン類(DC)は直線的に伸長した. 2)環境要因:パイオニア3715 (DC)とグレートベル(SC)を供試した結果. 高温で根の伸長が促進された. 根冠の除去と通気は根の伸長を促した. グレートベル(GB)を用いた実験でほ暗黒下でも根が屈曲した. 3)IAAとGA_3: 水耕液にIAAまたはGA_3を加えると(GB)の根冠を切除した根でも屈曲し,その濃度はそれぞれ10^<-7>Mと10^<-5>Mであった. また,地上部を切除し,その切口にIAAを含んだラノリンを塗布すると10^<-4>Mで根の屈曲が再現された. 4)ラベルしたIAAの地上部から根端への移動:根冠を切除したパイオニア3715(P)とGB2品種について前実験と同様ラノリンを用いて比較してみると,IAAの移動量は(P)より(GB)において大であった. 5)抗オーキシンの影響: (GB)の幼植物を用いて水耕液に抗オーキシンを与えた結果,PCIB M^<-5>MおよびTIBA^<-7>Mで根の屈曲を抑えることができた. 6)根の屈曲とCHM:GBの幼植物を用いて水耕液にたんぱく質合成阻害物質CHMを与えた結果,10^<-6>Mで根が直線的に伸長した. 以上の結果から, 根の屈曲は根の組織内でメチオニンから生化学的に生成されたエチレンによって起こり,このエチレンは組織内のオーキシンが過剰になったときに多く生産されるものと考えた.
- 1981-06-25
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