気管内挿管チューブ抜去の是非 : 川崎「安楽死」事件を他山の石として
スポンサーリンク
概要
- 論文の詳細を見る
2002年4月、1998年に川崎で起きた「安楽死」事件(筋弛緩剤投与事件)が報道された。意識不明の喘息患者から気管内挿管チューブが抜去され、大量の鎮静剤と筋弛緩剤が投与された。本稿では、この事例で医師が致死的薬物を投与するという行為に至る過程で、何が欠けていたのか、何がなされなくてはならなかったかを考察する。この事例をイギリスで初めて尊厳死を認めたと解されている人工呼吸器治療打切り事例と比較検討し、どのような行為がいかなる根拠に基づき倫理的に許容されるのかを論じる。その上で、高齢慢性呼吸不全患者からの気管内挿管チューブ抜去という極めて日常的な症例における判断を、倫理的に行うには何がなされなければならないかを提案する。そして、倫理的行為を行うためには時には法的根拠が必要であり、医療専門家、司法専門家、生命倫理の専門家等が共同し、医療現場の倫理的法的行為規範を充実させる必要があると結論する。
- 日本生命倫理学会の論文
- 2004-09-17
著者
-
尾藤 誠司
国立病院機構東京医療センター総合診療科
-
浅井 篤
京都大学医学部附属病院総合診療部
-
浅井 篤
熊本大学大学院生命科学研究部生命倫理学分野
-
浅井 篤
京都大学 大学院医学研究科医療倫理学分野
-
尾藤 誠司
国立病院機構東京医療センター 総合診療科
-
尾藤 誠司
Nho東京医療センター臨床研修科/臨床疫学研究室
-
尾藤 誠司
国立病院機構東京医療センター
-
千葉 華月
ウプサラ大学法学部
-
浅井 篤
京都大学医学研究科医療倫理学分野
-
浅井 篤
京大 大学院医学研究科 医療倫理学
-
尾藤 誠司
国立病院機構本部医療部研究課臨床研究推進室
-
尾藤 誠司
国立病院機構本部 医療部医療課
関連論文
- 事例で考える ナースのための臨床倫理(最終回・9)医療専門職のプロフェッショナリズムと臨床倫理
- 緩和医療学講座ABC DNR
- JASTRO平成16・17年度研究調査報告卒前におけるセミナー形式専門的教育がキャリアパスに与える影響の検討 ; 参加者の視点でみたJASTRO学生セミナー
- 第1回-第8回「医学生のための放射線治療セミナー」参加者進路追跡調査
- 「医学生・研修医のための放射線治療セミナー」参加者における放射線腫瘍学の知識と経験 : 小テストの試みとセミナーの今後のあり方
- 内科臨床研修における剖検の有用性 -『剖検所見の内科臨床研修へのフィードバックに関する調査』報告-
- 患者の選好に基づく臨床倫理決断
- 臨床倫理学教育 -枠組みと内容に関する考察-
- 臨床実習中の医学生による臨床倫理に関するエッセイの分析
- プロフェッショナルの基礎 : 卒後倫理教育の臨床医への実践に向けて
- ドラマの中の医療者(3)白い影 第5話
- わが国における研修医のストレス反応とストレス緩和要因の探索およびストレス理論モデルの作成
- わが国における研修医のストレス要因の探索的研究
- ドラマの中の医療者(8)医龍 Karte 5&6 バチスタ手術開始&バチスタ手術急転
- レジデントの研修医への教育的な接し方と、研修医の満足度との関連を検討する試み
- 卒後初期臨床研修における研修医の達成感,満足度に関する検討
- ドラマの中の医療者(2)最後のナイチンゲール
- デルファイ変法を用いた急性心筋梗塞に対する医療の質評価指標作成の試み
- 病院外来におけるコモン・ディジーズ診療の質
- スキルミックスと医療の質 (総合医学会報告 シンポジウム:チーム医療)
- 「映画を通して考える生命倫理」授業に関する報告
- インフォームド・コンセント(第9回日本生命倫理学会年次大会報告)(セッション総括)
- 事例で考える ナースのための臨床倫理(5)臨床現場の倫理ジレンマ(2)認知症高齢者の治療方針決定
- 事例で考える ナースのための臨床倫理(3)臨床現場の倫理ジレンマ(1)病名告知
- 事例で考える ナースのための臨床倫理(2)臨床倫理とそのカンファレンス
- 倫理教育に求められる教員の能力と役割--授業における倫理的態度の不一致への対応 (特集 看護倫理教育を考える)
- 超義務(Supererogation)と医の職業倫理(Professional Medical Ethics)
- EBMを倫理的視点から検討する (特集 EBMがもたらしたもの,めざすもの) -- (日本発のエビデンスを促進するために)
- EBMと「患者の事情」 (特集 臨床現場のよりよい判断と決断のために) -- (実際の適用にあたっての考え方)
- 臨床問題に対処するためのロジック (特集 こんなとき先生ならどう対応しますか--プライマリケア診療で困ったときに)
- 気管内挿管チューブ抜去の是非 : 川崎「安楽死」事件を他山の石として
- ドラマの中の医療者(最終回)救命病棟24時 第12話 緊急招集発令!守れ命の最前線!救え!ひとつでも多くの命を…
- ドラマの中の医療者(7)天国へのカレンダー
- ドラマの中の医療者(6)ナースあおい KARTE 11 「桜」後編--君がいるからがんばれる
- ドラマの中の医療者(5)ナースあおい KARTE 10 「桜」前編--2つの死
- ドラマの中の医療者(4)白い巨塔 第20回 最期の審判
- PART3 終末期医療に関するガイドライン(たたき台)公表の意義と課題 (特集1 意思表示のできない患者への倫理的な関わり方--ターミナル期の意思決定支援)
- 何を指針として見極めるべきか (特集1 意思表示のできない患者への倫理的な関わり方--ターミナル期の意思決定支援) -- (PART2 意思表示能力の見極めから意思決定支援まで)
- 臨床倫理の手法を用いた問題解決法--価値観の違いをどう埋めるのか (特集 こんなとき先生ならどう対応しますか--プライマリケア診療で困ったときに)
- 医学・医療における倫理教育 (特集 医学教育の新しい展開) -- (卒前教育)
- 臨床倫理と終末期医療におけるジレンマ (特集 終末期医療における倫理的ジレンマと解決案)
- 事例で考える ナースのための臨床倫理(8)臨床現場の倫理ジレンマ(4)看護師が日常業務で使用するSUD器材の再使用
- 現場で役に立つ基礎倫理理論 (特集 緩和医療・終末期医療における倫理と法)
- 死の自己決定と患者の利益(老いること、衰えること、死を迎えること)
- 事例で考える ナースのための臨床倫理(6)臨床現場の倫理ジレンマ(3)看護師の自律性と裁量権について
- 事例で考える ナースのための臨床倫理(4)看護を取り巻く現代社会の時事問題
- 事例で考える ナースのための臨床倫理(1)倫理とは何か
- 映画のなかではこうなった--終末期を描いた映画作品紹介 (特集 終末期医療における倫理的ジレンマと解決案)
- SCOPE(120)「臨床倫理コンサルテーション」の取り組みについて
- 共通語としての英語
- クリニカル・エシックスと医療におけるディレンマの意味
- 「ともに考える医療」ワークショップ開催報告
- 第7補体欠損症に合併した髄膜炎菌感染症
- プロとしての臨床研究 : 臨床研究指針と実際
- 「第3回医学生のための放射線治療セミナー」参加者進路追跡調査 : 参加後7年を経過して
- 医学部における医療倫理教育の現状について : 全国医学部調査より
- 新たな患者--医療者関係の中での医療者の役割 (特集 医のプロフェッショナリズム)
- 総合診療とFSS (特集 機能性身体症候群(FSS)--実態と診療のストラテジー) -- (診療現場での機能性身体症状の実態)
- 医療の質の評価と改善に関する研究 (特集 医療をめぐる国際比較) -- (医療の研究・質改善への活用)
- 包括的健康関連QOL評価尺度の個人レベルでの評価:その問題点と可能性について
- 倫理的ジレンマと意思決定に関する考察(第8回日本生命倫理学会年次大会セッション「インフォームド・コンセント, 倫理的ジレンマ」)
- 提言 医師養成課程におけるプロフェッショナリズム教育の導入と具体化について : 第16期日本医学教育学会倫理・プロフェッショナリズム委員会
- 内科学分野における臨床研究の進め方
- 医療システムと倫理 医療系学生に対する生命倫理学教育と倫理的態度の不一致
- 末期医療における事前指示・代理判断 (特集 医療をめぐる国際比較) -- (診療の現場から)
- Around Hematological Malignancies 利益相反について
- トピックス インフォームドコンセントの意義
- 初期臨床研修医に対する倫理問題の経験と倫理教育のあり方についての予備調査
- 内科勤務医の仕事満足度, メンタルヘルス, 就労環境における男女差
- 学術ジャーナルが提供するIT技術を利用したサービスの閲覧について
- 翻訳"医療関連企業による医学教育への資金提供AAMC作業部会の報告書"
- 医師養成課程におけるプロフェッショナリズム教育の現状調査