心身に二重の心理的外傷被害を受けた成人男性の家族支援過程 : 老年期にさしかかる母親とのカウンセリング
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概要
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本報告は,心身に二重の人為的な心理的外傷被害を受けて長年苦しんできた息子(27歳)を持ち,老年期にさしかかってようやく『心理相談室』に辿りついた母親(64歳)の援助過程での語りにおける対人言及やそれに付随する感情の変容過程を記述し,併せてかかる事例に取り組む際の態度・技法への留意点,援助効果等について考察することを目的とした事例研究である.結果として,カウンセリング援助の取り組みは,延べ10回続き,母親本人の申し出で終結したものである.面接場面での留意点としては,日常的・常識的な対応にならず,心に致命的な外傷被害を受けている母親の語りに,非侵襲的・非暴力的に,ひたすら聴き入ること,それを受けて返すことを主眼とした.母親は,その都度,自己に関わる重要な問題を次々に語り,不眠も消えかなり身軽になり,終結時点では,自己の今後への前向きな生き方を発見し,面接場面から離れて生活するようになっていった.
- 愛知学院大学の論文
- 2007-03-31
著者
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