アコヤ貝のAntisecretory factor様遺伝子のクローニング
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概要
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貝の精密な硬組織の形成は外套膜より分泌される有機マトリックスにより制御される。有機マトリックスの構成成分であるEDTA不溶性、大きさ50kDaのタンパク質のcDNAの単離を抗体により行った。得られたクローンの一つは1528塩基対からなり、389個のアミノ酸より構成される大きさ42kDaのタンパク質をコードしていた。この遺伝子は50kDaのタンパク質に相当するものではなかったが、アミノ酸配列を相同検索した結果、粘膜における電解質の分泌制御因子であるヒトとネズミのAntisecretory factor(AF)と極めて高い相同性があることが解った。AFの活性はヘキサペプチドVCHSKTRにあり、この配列は42kDaタンパク質にも存在する。以上のことから、42kDaタンパク質はアコヤ貝におけるAntisecretory factor様タンパク質であると考えられる。この遺伝子は外套膜やエラで発現しており、外套膜において、カルシウム等の電解質の分泌制御にも関係していることが予想される。
- 近畿大学の論文
- 2002-12-30
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