洗滌および非洗滌ルーメン微生物を用いた牧草のインビトロ消化試験法の比較
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概要
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ルーメン微生物を用いたインビトロ消化試験において,牧草の消化率におよぼす接種菌の採取源,窒素・還元剤添加の影響を調べるとともに,ルーメン微生物の洗滌菌体(WCS)を用いた場合の消化率を比較した。その結果,1)試料(イタリアンライグラス乾草)の充分な消化のためには,窒素源(100mg/l)の添加が必要であるが,過度の添加はかえって醗酵を阻害した。いっぽう,アミノ酸・ペプタイド源(トリプチケース)の添加は,消化率改善に多少の効果はみられたものの,必須であるといえない。2)還元剤は繊維消化を充分に行うためには,添加するのが適当であると考えられる。3)接種菌液としては,ルーメン液状部だけよりも,固形部を含めたものから得た菌液(FS菌液)のほうが,総生菌,セルロース分解菌,デンプン分解菌数がともに多く,試料の中性デタージェント繊維(NDF)消化率も,高い値を示した,などの結果が得られた。また,WCSを用いた培養では,その処理を嫌気条件下で行えば,FS菌液と較べて,接種菌液中の細菌数には顕著な減少は見られず,また,試料の乾物消化率にも差が見られなかったことから,この方法は,基質-微生物-消化の関係を解析するために,有効に利用できるものと考えられる。
- 日本草地学会の論文
- 1992-07-30
著者
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