インクルーシブ教育における参加と多様性の原理〈特集:インクルーシブ教育と共同の原理〉
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概要
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インクルーシブ教育においては、排除されるおそれのある生徒の固有のニーズやアイデンティティを無視せず、全ての子どもの差違と多様性を尊重し、学校の授業から地域の活動まで様々な学習活動への参加を平等に保障するという、学校教育全般の改革が目指されている。インクルーシブ教育をめぐる議論を「場」の問題に矮小化させないで、生徒の「同化」を求める結果になった統合教育と区別する重要な指標となるのが、「多様性」と「参加」の原理である。欧米におけるインクルーシブ教育への改革のプロセスは今、市場原理に基づく「スタンダード・アジェンダ」(競争的学力向上政策)との間に生じる様々な矛盾やジレンマに直面し、特別なニーズをもつ子どもが再び一般の学校から排除される傾向を生んでいる。しかしその一方で、そうした厳しい状況の下でも、従来の生徒像や学習観を見直し、多様性を尊重し、参加を保障するためにカリキュラムや指導法の発展が模索されている。特殊でもメインストリームでもない、インクルーシブなカリキュラムと指導法の構築が、求められている。その際のキー概念となるのが「共同性」である。
- 全国障害者問題研究会の論文
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